【実録!勇者列伝!】出る杭になる事を恐れない勇気ある人々シリーズ【VOL.1】
どうも。面白実話収集家、桜田(笑)陣平です。皆さんの周りにはいますか?勇者と呼べる漢が。勇者とは出る杭になる事を恐れず、勇気あふれる行いをし、己の信念を貫く人のことです。
このシリーズは今まで僕が実際に出会った勇者たちを紹介する企画です。彼らは小気味いい衝撃を残し、思い出し笑い起爆装置を与えてくれます。窮屈な時代、バランス感覚を頼りに空気を読み続け、精神が疲弊している現代人に贈る"クスッと笑えるラプソディー"的な記事を目指します。
箸休めのつもりで読んでいただければ幸いですが、テキスト多めでお送りしますので活字嫌いの方には地獄かもしれません。
勇者の選曲
今から3年くらい前に起こったエピソードです。逆境に屈せず、音楽性を貫く一人の青年勇者の記録です。彼が与えてくれたインパクトは、今でも僕の思い出し笑い起爆装置のスイッチを押し続けています。
勇者紹介
記念すべき初勇者は田町くん(仮名・当時29歳)です。
田町くんは僕の元取引先の元従業員で黒縁眼鏡の似合う爽やかな青年です。いつもハキハキと応対してくれるので、意思疎通しやすく、連絡相談も迅速なので「デキる社会人」のオーラが出ています。音楽フェスが大好きなサブカル男子の側面も。彼とは好きなロック音楽の話で雑談をしたり、好きな映画の話に共通点があったり。当時は仕事をもらえる嬉しさと同じくらい田町くんと喋るのが僕の楽しみでした。
勇者の生息地
田町くんの会社(以下:A社)は東京某所に位置し、正社員4名アルバイト4名程度の規模でした。ある業種に特化した広告代理業を営み、従業員は少数ながらも安定した仕事量を確保している優良企業です。営業先や外注さんとも仲が良く、ほっこり温かい会社です。
ことのおこり
A社は4月になると従業員揃って花見をしていました。毎年従業員オンリーで開催していたようですが、その年は取引先の人達も呼んで大人数楽しくやろうよという謎企画が持ち上がったのです。僕も外注先の若者として招待されて花見に参加することとなったのです。
花見参加者
花見は20名くらいの規模で行いました。A社が輪の中心となって、取引先企業の社長および役員、外注フリーランスなど多彩な顔ぶれが並びました。皆が皆、初対面だったので、名刺交換会ないし異業種懇親会的な展開に。和やかに桜を楽しみつつ、人脈作りにもなる夢展開。最高のひとときでした。
そして花見が終了するとカラオケ寄ってこうよという流れになりました。このカラオケが本日の伝説の舞台となるのです。
カラオケ二次会参加者
A社社長
毛沢東激似。60歳。A社の創業者。
野崎さん
A社の役員。50代半ば。無口だけど人の話をニッコリ楽しそうに聞いてくれる。
佐伯社長
A社に広告関係を発注している会社の社長さん。美術館が好きで静かに絵画を楽しむことが趣味。毛沢東と同世代。
小林社長
同じくA社に発注出してる会社の社長さん。佐伯社長とは同業者ながら競合せず、情報交換するなど仲が非常に良い。60代半ば。
山口社長
A社専属印刷屋さんの社長。花見中、ちょいちょい佐伯社長へ仕事直受けの提案をしていた。それをわざとらしく毛沢東に聞こえるように話してイタズラっぽく笑いかけるお茶目な人。70代前半。
加藤さん
女性。山口社長の印刷屋勤務。50代半ば。笑顔の可愛い美熟女。
輪島さん
女性。A社の外注イラスト屋さん。29歳で田町くんと同年。歌手のaikoさんに似てなくもない。
この7名+田町くん(本日の勇者)+桜田の計9名でカラオケすることになりました。※もちろん全員仮名です
気まずい雰囲気
年齢層を見てもらえるとお分かりになるかと思います。とかく選曲に困る。しかも毛沢東はじめ先輩方はカラオケ大好き。割と静かな昭和の楽曲でもマラカスが鳴り止まず、ヒューヒュー歓声があがる謎のテンション。まあよくあるよね。あの可愛い中年たちのノリときたら。可愛いんだが、困る。
そんな中、aiko要素60%輪島さんは、「今井美樹/PRIDE」を選曲した。
今井美樹 PRIDE(Live at Cadogan Hall, London, 2016)
雰囲気も壊さず、丁度良い感じ。お父さんたちはニッコリ聞き入っていて、手をあげてテンポに合わせて揺らしていました。「うまいねえ」とか言いながら。
その後「シクラメンのかほり/布施明」や「初恋/村下孝蔵」、「虹とスニーカーの頃/チューリップ」などを聞きながら僕も選曲。「チェッカーズ/涙のリクエスト」をチョイスしました。間違いのない選曲だったと思います。反応も上々。
60代との世代間格差を埋め、涙のリクエストをみんなで歌唱中に、衝撃が走りました。画面右上の次曲欄に「Faint」と出たのであります。嫌な予感。次は田町くんの番であり、彼はLinkinParkが大好き。しかし、その場の空気、いわゆる「ほのぼの感」と「同席者の年代」はラウドロック系楽曲を欲していないのは明白です。
つまり世界線が違うのであります。
涙のリクエストが終わり、僕がお父さんたちから拍手をしてもらっていると田町くんが僕の耳元でささやいた。
桜田さん、これぞ無礼講ってとこ見せてやりますよw
田町くんは一般人の仮面を被った勇者でした。彼の腕に光るはSEIKOプロスペックス、ランドマスター。冒険家仕様のタフな時計。
「LinkinPark/Faint」のイントロが始まった時にオジ様たちは拍手や口笛で勇者を盛り上げた。曲調も何も知らない毛沢東は「お前デカイ声出せよー!」とか煽っていました。
ギターパートが鳴り、本イントロに導入するためのシンバルが響くと同時に、勇者田町ソファへ後方ジャンプ!ソファー上で体揺らしまくり、即刻ガチ勢と化す。オジ様オバ様たちは気を使って「すごいなあ田町〜」みたいなコメントしてるんだけど、田町のギャップの凄さに驚き、むしろ怖がっていた。aiko要素60%輪島さんは心の内側で爆笑していたように見えた。
1番Aメロ、マイク・シノダパート完コピ。田町のリズム感は的確。落ち着きのあるRAPを披露していた。1番サビ、チェスター・ベニントンのメロパートを堂々の完コピ。2番Aメロ、マイク・シノダパート、気持ちよいフロウ、完璧なRAP。2番サビ、チェスター・ベニントンのメロパート超パワフル。アドリブで「クモッ!トキヨッ!(C'monTOKYO)」とか入れてくる。もはや黒縁めがねがチェスター・ベニントンのそれにしか見えない。
聴衆は勇者を直視することもできず、マスカラを振ることもなく、全英詞が流れる画面を静かに見つめ続けていた。
そして曲はスクリーム(シャウト)ポイントに差し掛かる。
勇者「ラ"イ"ナ"ーーーーゥ"ッ!」
田町先生は完全にやりきっていた。少し早めのラウドパークがやってきた。僕は無礼講の意味を初めて知った。歳下の青年に教わったのである。田町は勇者そのものであった。
ちなみに田町先生、お酒が飲めないので、驚くことにまったくの素面でこれをやってのけている。
Faintが終わると「意外な面を見たよ田町くん」とか「もっと静かな曲ないのかよー笑」とか、それぞれ仰っていましたが空気は悪かったです。その後、僕が「青春の影/チューリップ」を歌っていると、画面右上の次曲欄には「The truth」と出てきた。
勇者はブレーキのない車と化していた。しかも急勾配の坂道を猛スピードで下っている。彼の腕に光るはSEIKOプロスペックス、ランドマスター。冒険家仕様のタフな時計。ボーナスで買ったらしい。
「The truth/LimpBizkit」PVのフレッド・ダーストさながらのステージング。
イマージネクセェーピィダ、テュルゥッス!
Imagine accepting the truth
田町のラウド教育は隅々にまで行き渡っていました。発声、発音が鬼。田町の放熱の結果、2曲目にして味方だったはずの輪島さんも若者組から距離をとりました。
Imagine accepting the truth
勇者の真実には誰も逆らえなかった。
勇者が歌い終わると毛沢東が感想をコメント。「よくわかんない歌だな!ははは!」と。「アクションが激しいねえ、汗かいてるぞ」と。
勇者、おでこのとこ大汗かいてるw
その後「Jeneau/Funeral For a Friend」とか「Rose Of Sharyn/Killswitch Engage」とか勇者は選曲なされました。
2時間程経過した頃の様子。
勇者は室内で完全に浮いていた。
選曲するものすべて再現性が高過ぎた。
勇者は時空を操る道化師となり聴衆は愚かなマリオネットに成り下がっていた。
最終的には田町に向けて毛沢東が一言つぶやきました。
田町の歌、全部声うるさいよな。
そして勇者はこう返した。
こういう曲調が好きなんですよね。
毛沢東は理解に苦しんでいました。
カラオケが終わり外に出て勇者は清々しい顔をしていた。そして、僕にこう言い放ちました。
花粉症じゃなかったらもっといけたんですがね。
世の中は広い。あまりに広過ぎる。
これから歓送迎会などある人もいるだろう。勇者になるかならないかの判断は各自の判断に任せたい。(社会人としてはならない方が良いです)
〜FIN〜
人生、大切なのは勇気だね!
【悪ガキ編】小学生時代の思い出を語ることにする【非生産的主義時代】 - soyever